既存顧客の声で新規顧客を呼び込むレビューマーケティング
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2020年2月14日
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≪背景・課題≫
●自社Webサイトに声を寄せるページを設けてはいるが、お客さまからの直接の書き込みは少なかった
●お客さまからの等身大の声が十分に集められていなかった
●マーケティングで活用するコンテンツが事例などに限られていた
≪ITreview利用の効果・メリット ≫
●ITreviewという第三者のオープンな場で、お客さまの等身大の声が聞けるようになった
●ITreview Grid Awardの「Leader」受賞ページを作り、社外向けサイトへ掲載。イベントでもパネル掲示し、マーケティング活動へ有効活用できた
●営業が利用する説明資料へレビューを掲載。より分かりやすく製品の良さが伝えられるようになった
●レビュー内容により開発者が自身の成果を感じられるようになり、モチベーションアップにつながった
ファイル連携、データ連携ツールの分野では、16年連続で導入実績 国内シェアNO.1(※)を維持し続けている「HULFT(ハルフト)」や、データ連携ツール「DataSpider Servista」などの製品群を提供するセゾン情報システムズは、文字通り市場からの圧倒的な支持を獲得している。このような導入実績があれば、マーケティングや新規営業の場面でもかなりの追い風のように思える。しかし、「私たちが丁寧に実績や製品の説明を行っても、購入時の選定で最後背中を押すのは実際に利用している人の声」と語るのは、同社 マーケティング部 部長 野間英徳氏だ。
今回同社は、ITreviewを活用しこれまでできなかった製品ブランディングを実現したとしてITreview 2019 Customer Voice Leaderを受賞。では同社は、具体的にITreviewをどう活用し、どのような製品ブランディングを実現しているのか、今後さらにITreviewをどのように活用していきたいかをマーケティング部 野間部長、對馬陽子氏に詳しくお伺いするとともに、製品開発一部 製品開発第一グループ グループ長 宇佐美佑氏には、開発者の立場からのITreview活用メリットをお伺いした。
※出典:株式会社富士キメラ総研「パッケージソリューションマーケティング便覧」「ソフトウェアビジネス新市場」<ファイル転送ツール パッケージ・金額ベース>2003年度実績~2018年度実績
――ITreview導入以前、貴社は、顧客の声をどのように収集していらっしゃいましたか?
野間氏:当社のプロダクトを使っていただいているお客さまとの接点は大きく2つあり、1つ目はヘルプデスクのあるカスタマーサービス部で、そこがお客さまの声を統括しています。2つ目は日々の営業活動の中から集まってくるお客さまの声です。
また製品のバージョンアップなど大きなプロジェクトを進める時には、SIer、エンドユーザー、経営層や現場層と階層を分けたラウンドテーブルを開催します。そこで、今のHULFTってどう思われますか、どういうところが困っていますか、どんな機能があればいいですか、と声を集めます。あとは、定期的に経営層の方を集めて開催する「HULFTサミット」というのがあります。そこでの交流会にて、いろいろ声を拾ったりすることもあります。
さらに当社のWebサイトには、VOC(ボイス オブ カスタマー)というお客さまがダイレクトに声を入れられる場所があります。お客さまの声を集め、製品やサービスの改善に生かすことはもちろん、製品への改善や社員のモチベーションアップにも活用したいという目的で設置しました。
――その中で、どのような課題感をお持ちだったのでしょうか?
野間氏: VOCにお客さまはなかなか書き込んでくださらない状況です。社内の営業担当などはお客さまから伺った声として結構入れているのですが、やはり要約された声となってしまいます。
気楽に、良いも悪いも含めて書き込むという、そういう等身大の声が今まではなかったというのは課題としてありました。書き込みを見れば、同じことを考えている人がいるとか、周りの状況が分かりますよね。そういう点は、今まではありませんでした。
――ITreviewという第三者のオープンな場で、VOCで集めることができなかった、等身大のお客さまの声を集めようとなさったわけですね
野間氏: はい。私たちが「こんな製品でこんなことをできますよ」「こんな機能がこんなに便利ですよ」と言っても、しょせん、作った人たちが言っていることだから、市場のお客さまたちは「まぁそうだけど、本当はどうなの?」となると思うのです。最後に背中を押すのは、同じような課題を持つ人や、同じ製品を使っていた人の「あれ、いいよ」というコメントで、それは何億円とかけたCMより強い。そう考えると、第三者が冷静に見てどうなの?という評価は、やっぱり私たちとしてもそれは武器になります。
良いことだけでなく悪いことも書かれる可能性はありますが、それが正直な市場の声なので、私たちの製品を公平に見てもらおうということで、ITreviewの活用を決めました。
――顧客の声を集めるだけならFreeプランでもできますが、貴社は有償のPremiumプランを導入されています。どんなメリットを感じてPremiumプランを選択されたのでしょうか?
對馬氏: Premiumプランですと、レビューそのものやITreview Grid Award の「Leader」「High Performer」のバッジが二次利用できることにとてもメリットを感じています。営業が使う説明資料がありますが、その中にレビューの内容を掲載して、こんなレビューをいただきました、「Leader」を獲れました、ということを掲載しています。
当社の製品はミドルウェアなのでどのような業務システムで活用されているか理解されにくいという課題があったのですが、レビューを掲載することで、より分かりやすく製品の良さが伝えられるようになったかなと思います。
また、私は社外のデベロッパーさまなどとのコミュニケーションを主に担当していますが、当社から提供するコンテンツは限られてきます。レビューサイトでの受賞は珍しいことだなというのもあり、そのバッジが社外の方々の関心を集めるのに有効だろうと判断しました。実際、ITreview Grid Awardの「Leader」を受賞しましたというページを作り、「HULFT.com」という社外向けサイトへお知らせとして掲載しました。あとイベントでも、パネルを作って掲示しました。
野間氏: HULFTやDataSpiderなど各製品ページに、第三者の評価としてバッジを掲載しています。ユーザーの皆さまに評価していただいていますというのは、さまざまな露出の場で二次利用しています。また、私たちのメッセージがうそではないことの証にもつながっているのではないかと思います。
それと、私たちはメーカーなので、いただいた声をどうやって最終的に製品へ反映しているのか、そこが大事だと思っています。
ITreviewでいただいた声の中から、こんな機能アップができて課題解決ができましたというのを、次のステージではお客さまに御返しできればなと思っています。
――ITreviewでのレビューに限らず、顧客の声を製品の機能改善につなげたものはありますか?
宇佐美氏: お客さまからの声のうち、機能改善などの「要望」は、HULFT事業部の要望管理というシステムで一元管理され、事業部の担当者が要望の中身を見て、担当部門に振り分けています。振り分けられた部門の部門長が誰をアサインするかを決め、担当エンジニアは対応するかどうかなどの回答をまとめます。私の開発一部では週1回、部長も含めた関係者で要望を見ながら、これはやる、これはやらない、やらないならなぜか、というようなミーティングをしています。
要望管理システムは、声を貯める場所ではなく、要望を貯める場所です。例えば、ヘルプデスクを主管するカスタマーサービス部は、ヘルプデスクへいただいたさまざまな声の中から、要望だけをピックアップし、要望管理システムへ入れています。それ以外にも、VOCを主管するCSATというお客さま満足度向上委員会は、VOCに寄せられた声の中から要望をピックアップし、それが要望管理システムへ取り込まれています。
ITreviewでいただいた声も主管のマーケティング部が、これは要望だと判断したら要望管理システムへ入れるというパターンになるかと思います。要望管理システムに入った後の流れは確立しているので、開発としてはぜひやって欲しいなと思います。
――開発の方々もレビューをご覧になっていますよね?
宇佐美氏: はい。對馬からSlackで全社宛てにお知らせが飛んできます。ITreviewでこういうコメントが入りましたと。開発がお客さまに呼ばれるのは、だいたい怒られる時で、褒めたくて呼ばれることはあまりありません(笑)。しかしレビューは褒められていることが多いので、メンバーはうれしいと思います。
開発部のメンバーは、もしかしたら、自分の仕事の成果を具体的に抱きづらいのではないかと感じる時があります。というのも、例えば開発で、機能を拡張しましたということがあった場合、僕らがやったことが誰の役に立ったのか分からないという感覚が少しあるのです。
この1件の機能拡張で、実際に追加された機能を使った人が「これまでよりすごく使いやすくなり、ありがとうございます。とてもいいプロダクトです」とレビューしてくださると、自分のアクションが成果につながると思うのです。ITreviewのレビューが開発者のモチベーションアップになっていますね。
――これまでの方法で集められた声と、ITreviewで集めている声の違いは何か感じますか?
宇佐美氏: 営業サイドから来る声より、お客さまは何を要望されているのかということが分かりやすいです。営業がお客さまと1対1で話すと、お互いに暗黙の認識が多すぎて、要望管理へのアウトプットになった時に、背景がつかめない、現在どういう使い方しているのか分からないということが少なくありません。
一方で、レビューは、周りのカスタマーに伝えようとレビュアが書いています。そうすると「ウチはこういうふうに使っていますが、こういうところがすごくいいけど、こういう時にちょっと困ります」など、誰が見ても分かりやすく書かれています。どちらかというとレビューのほうが、どんな要望なのかが分かりやすいですね。
――現時点で、ITreviewを利用することで得られた成果は、どのようにお感じになっていますか?
宇佐美氏: 成果といえるのか分かりませんが、開発の立場からすると、ITreviewのレビューは、ものすごく自信になります。
HULFTは、自分が入社した時から、国内の売り上げシェアで1位でした。でも、入社した時は正直その実感がありませんでした。売り上げやシェアだけを見せられても全然湧かなかった実感を、ITreviewのレビューがすごく感じさせてくれたというのはあります。ふわっとしていた1位が、自信が持てる1位になったというか。全社向けにレビューが共有されてくると、それを作っているのが自分たちだという強い自信にはなったかなというのはありますね。
――ITreviewの活用方法について、今後さらに構想されていることがございましたら、お聞かせください。
野間氏:今後は、集まったレビューの数に対して何件の製品化や機能改善につなげられたかなど、そんなKPIを設定して取り組みにドライブをかけていけたらと考えています。ITreviewで、あなたのそのコメントがこんな製品にしましたよ、こんな機能になりましたよというのが、宇佐美のところから出せるとか。ただそこまで到達するには、まだちょっといくつかステップがあるかなと思っています。
また、レビューを書いてくれた方々とコミュニケーションを取っていきたいですね。私たちにお知らせいただいたことに対して、まずはコメントバックしていきたいです。
将来的にはレビューから製品化しました、新機能をリリースしましたということをこちらから返して、それをまた使った方が「こういうのを求めていた」とレビューを投稿して。そういうスパイラルで回っていくコミュニケーションが理想ですね。そうすることで、新しいお客さまにも製品の良さを分かっていただけるようにしていければと思います。
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