機能比較だけでは見えてこない「使いやすさ」を可視化。eBookが商談時の説得力を補強

言わずと知れたクラウドストレージサービスの「Dropbox」。その法人向けサービスである「Dropbox Business」を展開しているのがDropbox Japan株式会社様です。ITreviewでは、そのDropbox Businessについて2020年の「Customer Voice Leaders」の1つとして選定させていただきました。ライバルが多く、機能面に顧客の目が行きがちなクラウドストレージ分野において、同社が長年フォーカスしてきた「使いやすさ」を効果的にアピールするためにITreviewを活用。ユーザーの声をまとめたeBookを作成することで、一歩進んだ営業・マーケティング活動を展開しています。

【背景・課題】
・競合企業が行っている実利用率を無視した機能だけの比較に疑問を抱いていた
・Dropboxが重視する「使いやすさ」を顧客に「証明」する手段を探していた
・1対1の対話だけではわからない、利用者の全体的な意見や傾向を知りたかった

【効果】
・競合製品とは用途が異なることを認知してもらえるように
・ユーザーが体験する事実をベースとして、顧客に対して的確な提案が可能に
・目に見えにくい「使いやすさ」がeBookで整理され、説得力ある提案の助けになった

■機能比較では現れない「使い勝手の良さ」をどうアピールするか

―クラウドストレージの代表的なサービスの1つとして知られているDropboxですが、Dropbox Japan は日本でどのような活動をされているのでしょうか。ITreviewの活用を始めた経緯とあわせて教えてください。

当社Dropbox Japan株式会社は、米Dropboxの日本法人として 2014年に立ち上がりました。主に企業のお客様の導入支援のために活動しています。Dropboxは、歴史的には個人向けサービスから始まって、今はBtoBのサービスも提供しているわけですが、そのなかで組織として変わらずに大事にしているのが、ユーザー様からの声と、ツール・サービスとしての使いやすさです。

日本国内ではセールスや、カスタマーサクセスのチームがお客様と直接やりとりしています。ですが、そのうえで、もっと多くの企業ユーザー様の声を集めるにはどうしたらよいかを考えたときに行き着いたのが、ITreviewでした。

―営業活動や導入支援における直接のやり取りと、ITreviewのユーザーの声とでは、得られる内容に違いがあると感じたのでしょうか。

1対1で直接お話ししたときにお客様からいただける声は、ものすごく具体的で、今後のより良い製品開発にも役立てることができる、素晴らしいフィードバックばかりです。しかし、収集が可能な声の数としては多いわけではありません。日本のあらゆるお客様にとって、サービスを利用するときの重要なポイントがどこにあるのかを俯瞰的に、一定以上のボリュームある意見として知るためには、1対1ではなく、社外の媒体などを使わせていただくのが良いのでは、と考えました。

―ITreviewのユーザーの声はどのような形で利用されているのですか。

企業ユーザー様がクラウドストレージサービスの導入を検討するときは、複数の製品の機能一覧を横に並べて、できることとできないことを比較されることが多いんです。ただ、機能比較だけに注目して製品を導入すると、導入後に社内での利用率が上がらず、結果的に従業員が勝手に使いやすい製品を仕事に使ってしまうという「シャドーIT」を招く結果につながってしまいます。

実際に、シャドーITの増加によってセキュリティに深刻な課題を感じたため、当社にご相談をいただくお客様も多くいらっしゃいます。しかし、こうした「使いやすさ」や「将来的な利用率」といった項目は、機能比較一覧に入れられるものではありません。また、同じカテゴリーとされる製品群でも、根本的な用途が微妙に異なる製品の場合、機能の比較表だけでは優劣をつけ難く、本当に自社に適した製品にたどり着けないかもしれません。

では、当社の重視している「使いやすさ」を製品比較の段階で検討の項目に入れていただくにはどうすればいいのか。たとえば、クラウドストレージサービスを利用しているユーザー様の声として、他社の製品はこういう風に使えるけれど、Dropboxではこんな風に使える、といったような形で見せられれば、Dropboxの使いやすさを客観的にアピールできそうだと思いました。

そこで、他社製品とは異なるDropboxの使い勝手の良さやメリット、ユーザー様の実際の声などを整理したeBookをITreviewさんに作っていただきました。

投稿されたユーザーの声(レビュー)を活用したeBook

―他社製品にはないDropboxのメリットを1つ挙げるとすると、どういったところになるでしょう。

たとえば「Dropbox Spaces(スペース)」という機能です。従来のクラウドストレージはウェブブラウザ、もしくは端末にインストールしたアプリケーションを使って、フォルダにファイルを保存して管理する、というような使い方が基本になっています。

しかし我々はもう一歩先の考え方で、フォルダの中でチームメンバーとコミュニケーションできたり、ファイルの更新履歴が見られたりと、業務の遂行に必要なやり取りをDropbox Spacesという1つのツールのなかで完結できるようにしているんです。

もはやクラウドストレージという1つの側面だけで語ることはできません。そういうこともあって、単純な機能比較では目に見えにくい「使い勝手の良さ」をきちんとアピールしたかったというのがあります。

―ITreviewが作成したeBookの内容について、もう少し詳しく教えてください。

最初のスタートポイントは、ユーザー視点で比較すると、他社製品よりDropboxの方が使いやすい、という点をどう表現するか。そこで、他の製品ではどのような部分がユーザーの不満の原因となっているのか、Dropboxではなぜそれらの不満が発生しないのか、機能的な解説と、実際のユーザー様の声をまとめてもらうことになりました。

例を挙げると、Dropboxは特許技術によって高速なファイル同期を実現していて、ユーザー様からは高く評価いただいています。それでいて、いろいろな人と協業しながらコンテンツを作り上げていくためのコラボレーションツールでもあります。

一方、他社製品は静的なコンテンツを保存しておくための保管庫の性質が強い。したがって、個人的のバックアップやシンプルなファイル保管なら他社製品で、社外スタッフも含めて迅速にコラボレーションを進めるときはDropboxで、というように、他とは用途が違うことを認識していただく内容にしています。

■ユーザーがいずれぶつかる課題に先手を打ちながら提案できる

―eBookに対する顧客の反応や効果など、見えてきたところはありますか。

お客様に積極的にeBookの評価を聞いているわけではないのですが、ダウンロード数を見ると、みなさんに興味をもっていただけているんだな、という引きの強さは感じます。また、製品のポイントとなる部分を客観的に比較できるこのような資料はあまりないので、eBookができたことを我々社内の人間も喜んで活用しているようです。

たとえばDropboxのコアである使いやすさ、ユーザビリティは、ITツールに不慣れな人でもすぐに使える、というセールスポイントの1つにもなっています。ですが、商談の際に営業担当者がそれを一言で話しても説得力が出にくいんです。そこにオフィシャルに整理された資料としてeBookを提示できることで、説明がしやすくなり、納得いただきながらご提案できる、というメリットを感じていますね。

―他にユーザーの声を活かすことができた事例はありますか。

とある競合製品で、たとえばある機能について「○○ができる」と競合会社様自身が説明されていても、ITreviewでは実際のユーザー様からの報告として「説明と異なり事実上○○はできない」と投稿されていることがあります。それに対して「Dropboxだとこういう風に対処できる」というように、事実に沿って的確に説明できるようになった、という実例があります。

競合製品を貶めるのではなく、あくまでも事実として他社製品ではユーザー様がこうレビューしていて、でもDropboxならこう使える、と切り返す形でアピールできる。eBookではそういった部分の情報も整理できるので、営業担当者としては、企業ユーザー様が実際に現場でぶつかるだろう課題に対して先手を打ってお話ができるようになりました。

―ITreviewのユーザー投稿の中で新しく得た気づきみたいなものは何かありますか。

最近では弊社マーケティング部門の動きもかなりデータドリブンになってきていますが、他で分析したデータと同じような内容が、ITreviewのレビューにもよく出てくることがわかっています。

つまり、口コミで高評価をいただいている部分が、ユーザーの皆様が実際に使いやすいと感じていただけている部分でもある、ということで、答え合わせがきちんとできているんですね。その評価の高い部分を特に強調する形でマーケティング活動していくことで、より高い効果が得られるという確信がもてるようにもなりました。

搭載機能ごとの評価がわかるようになっており、
ユーザーがどの機能に対して満足・不満足なのかもわかる

―レビュー内容を本国にフィードバックしてDropboxの開発に活かす、というようなこともされているのでしょうか。

今はまだそこまでの活用はできていません。製品の機能改善については、お客様から直接いただいた声を本国の製品開発部門に伝えるプロセスが別にある、というのが理由です。ただし、レビューの内容を一切報告していないかというとそうでもなくて、本社の製品開発担当者に、日本でこういう機能がよく使われている、こういう機能要望がある、という声を届けることは定期的にしています。

―今後、ITreviewをどのように活用していきたいと考えていますか。また、ITreviewに期待しているところがありましたら教えてください。

Dropbox では、2020年の9月に、電子署名サービスの「HelloSign」をリリースしました。DropboxとHelloSignを組み合わせることで、Dropboxを通じて契約締結などの承認プロセスをスムーズに進めることができます。Dropbox上で署名が完了した契約書類をフォルダやカテゴリーに分けてシームレスに管理することも可能です。2021年の今年は、このHelloSignの利用者も伸ばしていきたいと考えていますので、そこにもITreviewを活用していければ、と考えています。

あと、今までは外部メディアでの活動においてお客様から収集していた情報は、たとえばどのアンケートにどう答えたのか、どのウェビナーに参加してどの資料をダウンロードしたか、といったものだけでした。そこに至るまでにお客様がどの製品と比較していたのか、どの機能に着目していたのか、というような行動データは、お客様が正確にアンケートに答えてくれない限りわかりません。そうしたお客様の行動データを補ってくれるプラットフォームとしてITreviewを活用していますが、その機能がさらに強化されることを期待しています。

―これからITreviewを活用しようと考えている企業に対してアドバイスをいただければ。

いくら機能が多いツールでも、実際に使えなければ意味がありません。その観点から言えば、使い勝手が良く、誰でも機能を使いこなせることはとても重要ですが、それをアピールする方法はなかなかありません。また、製品を比較したときに、ここは良い、ここは良くないと1つ1つ例示することはできても、ある程度母数のあるデータから全体的な傾向や評価をデータとして示すことは難しいものです。ITreviewであれば、通常は困難なそれら両方のことが容易に解決できます。

最近はカスタマーサクセスというキーワードが多くの企業で注目され、専属の担当者も増えてきています。それだけお客様の声というものは重く、お客様と直接コミュニケーションしていくことが大事なんですよね。そんな風にお客様の声を踏まえて自社製品をアピールしていくという面でも、ITreviewというプラットフォームは非常に有効なのではないでしょうか。

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