壁になっていた「大企業向け」の誤解。ユーザーの客観的な声を根拠に覆し、中堅企業にアプローチ――コンカー

顧客の生の声を活用した製品向上・二次活用が効果的

社員にとって意外と負担が大きい毎月の経費精算。紙の領収書が基本で、余計に苦労の多い作業になっていましたが、それを電子化するために電子帳簿保存法の改正を訴え、実現するために尽力してきたのが、経費精算ソリューション「Concur Expense」などを展開する外資系企業のコンカーです。ITreviewではそのコンカーについて、「Customer Voice Leaders 2022」の1社として選定させていただきました。大企業向けと思われがちな同社製品の印象をITreviewの活用によって払拭し、幅広い企業に魅力的な製品であることを効果的にアピールしています。

■インタビュイー情報
株式会社コンカー
フィールドマーケティング部 シニアマネージャー 安東知佳様
フィールドマーケティング部 SMBマーケティングスペシャリスト 織戸沙輝子様

本記事のサマリー

【背景・課題】
・中堅・中小企業への認知の拡大
・ネットで情報収集する潜在顧客へのPR手段を模索
・「大企業向け製品」という先入観の払拭
【活用の効果】
・顧客一社一社に依頼し、着実にレビュー収集
・配布資料、Webサイトなどにレビューやデータを掲載
・使いやすい、リーズナブルな製品であるという認識が拡大

情報をネットで収集する時代にマッチするレビューサイトに白羽の矢

―はじめに御社の事業内容と、提供されているサービスについて教えてください。

安東様

当社は経費精算、請求書、出張という主に3種類の経費管理を電子化、効率化するクラウドソリューションを提供している会社です。海外では30年ほど前からビジネス展開しており、2010年には日本法人を設立して国内事業も広げてきました。

今回表彰いただいた「Concur Expense」は、紙の領収書などを電子化し、クラウドに保管して、効率よく経費精算のフローを回すことができるものです。グローバルで展開しているソリューションということもあり、たとえば日本国内だけでなく全世界に支社がある会社においても一貫したフローで管理しやすいのは我々の強みの1つです。

また、そもそも日本国内における領収書の取り扱いについて、当社が海外の標準に合わせて電子化すべきとしてロビー活動を行い、日本の規制緩和につなげることに一役買ったところもあり、外資系企業でありながら日本の法制度もきちんと理解して経費精算システムの市場を作り上げてきたという自負もあります。今や世界の時価総額トップ100企業の約6割が我々のお客様ですので、そういった多くの実績をもつソリューションであることも特徴です。

―ITreviewを活用していこうと考えたきっかけは何でしたか。

安東様

消費者の購買行動は時代によって変化しています。昔は購買行動のモデルとしてAIDMAが主流でしたが、インターネットの普及でAISASやAISCEASといったモデルに変化し、さらにSNSの流行でVISASのような新たなモデルも提唱されるようになっています。そしてコロナ禍になり、さらに大きな行動変容が起こりました。一般的な商品はもちろん、当社が提供している企業向けのソリューションについても、ますますオンラインの世界で情報収集し、良し悪しを判断する傾向が強まってきたように思います。

一方で、我々のなかでも製品に関連する課題感がありました。特に中堅・中小企業へのアプローチが難しかったんです。コンカーの製品はどうしても大企業向けの印象が強く、中堅・中小企業の方にとっては関係ないと思われてしまったり、高額な費用がかかると思われていたり。その先入観を覆していくのに大変苦労していました。

認知度も課題です。我々自身、アグレッシブに広告戦略を展開していないので、大企業には知られているものの、その他の企業にはコンカー自体知られていないことが多くありました。しかも、先ほどお話ししたように行動変容が起こってオンラインでの情報収集がメインになっています。そのため、当社としても戦略を転換し、SEO対策やWebサイトの改善を活発に行ってきました。

加えて、製品を比較・評価できるメディアも活用していきたいと考えていて、そのときにITreviewの存在を知りました。中堅・中小企業の方の認知の変化と拡大を狙う意味でも、ITreviewがちょうどいいのではないかと。グローバルでG2 Crowdなどのレビューサイトを活用している担当者からも、G2 Crowdと提携しているITreviewなら間違いない、と太鼓判を押してもらえたことも活用に踏み切る決め手になりました。

顧客一社一社に人海戦術で丁寧にレビュー依頼

―ITreviewはどのように活用してきましたか。

安東様

ITreviewのユーザーレビューや評価をもとに、我々の中で分析し、その結果をカスタマーサクセスにフィードバックしてお客様のサービス向上に務めてきた、というのが1つ。リーダーバッジを自社Webサイトに掲載したりもしてきました。

そんななかでITreviewのグリッドが我々の現在の状況を明確に表していることもわかりました。特に中堅・中小企業の方からのレビュー投稿が少なく、かつ満足度が低い。レビューが少ないのに評価が低い、というのはデータとして集めきれておらず、まだ偏りがあるからではないかと感じましたので、カスタマーサクセスや営業部門の社員に声をかけて、まずは中堅企業のお客様の声をたくさん集めていく方針を固めました。

―具体的にはどのような方法でレビューを集めてきたのでしょう。

安東様

本当に地道な作業ですね。一斉メールで案内するようなアプローチの仕方だと、お客様にレビューしていただくところにはなかなか至ってくれませんでしたので、カスタマーサクセスや営業の社員1人ひとりがお客様に個別に「ぜひご意見をお聞かせください」とお願いしていくという、まさに人海戦術で取り組み、レビュー数をコツコツ増やしていきました。我々マーケティング部門だけでなく、本当にいろいろな部署のいろいろな人が、レビューを集めるために協力してくれましたね。

結果、中堅企業のお客様においては、「使いにくい」「料金が高額」といった評価が少なかったときの印象とは全く逆で、「使いやすい」「リーズナブル」という評価が得られました。これまでの思い込みを覆すような良い結果でしたので、そうした声を盛り込んだホワイトペーパーを作り、展示会などのイベントで配布するなどして、中堅企業の方々の先入観を払拭するような活動を続けてきました。

また、当社の製品ページにおいても、中堅・中小企業のみなさんが「Concur Expense」を魅力的に感じていただけるのはどういった作りのサイトだろう、というのを、レビューの内容からヒントをもらいながら改善してきたりもしました。

―人海戦術で取り組んできたとのことですが、ギフト券をプレゼントするようなキャンペーンではレビュー獲得が難しかったのでしょうか。

安東様

当社のお客様の場合、なぜかギフト券は響きませんでした(笑)。ウェビナーやニュースレターでキャンペーンの案内をしてきたのですが、それが全然うまくいきませんでした。我々の想像では、当社が直接やりとりさせていただいているのが経理・財務部門の方々だったからではないかと。経理・財務の方々は金銭の授受に関して厳しいモラルをお持ちだと思います。

レビューや評価をまとめたホワイトペーパーが強力な説得材料に

―ITreviewの製品情報のページでは、多くの機能を駆使して作り込んでいるように感じます。

安東様

製品の特徴がファーストビューで見えるように、というところはきちんと考えて作りました。ページ右下からは、当社の提供している資料のなかで一番人気の100ページくらいあるガイドブックを無料でダウンロードできるような広告表示もしています。

ページ全体の見せ方としては、中堅・中小企業の方がメリットを感じやすいところにフォーカスした内容のメッセージを打ち出すようにしています。たとえば「入力レス」「手間が省ける」といったワードですね。大企業向けの場合、業務改革を目的に導入を検討される場合が多いため、「間接費改革」や「間接業務のデジタルトランスフォーメーション」のような言葉を全面に出すことが多いです。

―ITreviewを活用されてきた中で、効果として特に実感したようなところはありますか。

安東様

ITreviewの協力のもと、ユーザーレビューなどをまとめたホワイトペーパーを作ったことで、中堅・中小企業にもメリットがたくさんあるという、我々が気付けなかったポイントもきっちり可視化できたのは大きかったです。

我々がいくら「中堅・中小企業の方にも使われています」と言っても、コンカーのことを知らないお客様に対しては説得力がありません。しかしホワイトペーパーを使って説明すると、中堅・中小でも使えるんだ、評価が高いんだ、コストパフォーマンスも高いんだ、ということをご納得いただける。そういう思い込み、先入観をしっかり覆すことができたという意味で、ホワイトペーパーは強力なツールだったなと思います。

―目には見えない感覚的なところでの効果、意外な効果みたいなものはありませんでしたか。

安東様

当社では、ITreviewのデータをもとに、製品のどの部分に対して評価が高いのか、もしくはどの部分の評価が低いのか、というのを分析しました。それを受けて、たとえばカスタマーサクセスの社員に対して、お客様の課題感などをフィードバックしたりもしています。お客様の声を真摯に受け止めて、我々が改善できるところがないか常に考え、お客様がよりよくコンカーを活用できるようにする。そういうことが可能になるツールだな、と感じているところもあります。

―ITreviewに対する社内からの感想・評価はいかがでしょう。

安東様

ITreviewのグリッドは我々の製品の現在のポジション、お客様の評価の実際を如実に表しているので、それに対して我々がどういう活動をしていけばいいのか、お客様にどう提案していくのがいいのかが明確になる、という声が多いですね。カスタマーサクセスも、営業部門も、大いに役立てているとのことです。

―ITreviewを運用していくところで難しい部分はありませんでしたか。

安東様

特に難しいところはないですし、ITreviewの担当の方が一緒に伴走してくれるのはありがたいと感じています。レビューを増やすためにこういうことをしてみては、というような提案をいただけたり、ミーティングで活用方針の意識合わせをすることができたり、そこはすごく助かっていますね。社内にITreviewの重要性がしっかり浸透してきているのは、そういった日頃のITreviewのサポートのおかげだと思っています。

継続的なレビュー収集に工夫を凝らす。SNSの活用も視野に

―今後のITreviewの活用方針について考えているところがありましたら教えてください。

安東様

レビューサイトの活用はこれからますます重要になってくると思いますので、より多くの評価を集めるために活動していきたいと思っています。中堅のお客様からはある程度レビューをいただけましたので、次はまだ数として少ない中小企業の方のレビューをどうやって増やしていくか、というところを考えていくつもりです。

織戸様

レビュー集めについては、いくつか考えているところがあります。1つは、これもやはり人海戦術ではあるのですが、当社の社員にとって身近な人たち、たとえば家族、友人、知り合いの方にレビューをお願いしていく、という方法ですね。営業からお客様にお願いするだけでは限界がありますので。また、当社のSNSアカウントで、フォロワーになっているエンドユーザーやファンの方に向けて、投稿を呼びかけてみる、という方法も試してみようと考えています。

あとは米国での取り組みを参考にした方法です。営業にとっては、お客様へのレビュー依頼は評価につながらないボランティア的な活動になってしまうので、モチベーションが高く保てないという実情があります。そこで、営業部門でレビュー集めのコンペを実施して、1カ月間に最もレビュー投稿を集められた人が表彰される、というような取り組みをしたそうです。これはわかりやすいアイデアですし、日本国内でもできないか社内で相談しているところです。

―ITreviewをこれから活用していこうとしている企業の方に向けて、何かメッセージがありましたら。

織戸様

ITreviewは、第三者の評価として発信するコンテンツになっているので、自社で発信するのとは違って、信頼性を感じられるのが大きなメリットだと思っています。しかも機能ごとの細かな評価もあって、たとえば「電子帳簿保存対応」や「外貨対応」、「サポート品質」など、さまざまな軸のスコアがわかります。当社が「サポートもしっかりしています」とお話ししてもお客様にはあまり響きませんが、ITreviewのスコアや他のお客様のレビューのなかでそれが見えると、納得していただきやすいんですよね。

安東様

レビューの中身についても、「良いポイント」や「改善してほしいポイント」といったように評価軸がわかりやすいので、製品のことを知りたいと思ってアクセスしてくるお客様にも優しい作りになっているように思います。インターネットを通じて情報収集する世の中ですから、こういったレビューサイトは強力なプロモーションツールになるのではないでしょうか。企業としては使わない手はない、メリットしかないと思いますね。

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