第三者評価で「信頼」を醸成し、インテントでタイミングを計り「一本釣り」― エイトレッドのITreview戦略

第三者評価で「信頼」を設計し、インテントで「一本釣り」する戦略

「リード獲得ではなく”信頼獲得”の場としてITreviewを活用しています。」
「インテントデータはアポ獲得に直結する有効的なツール。月5〜10件は安定して創出できています。」

ワークフロー専業の老舗、株式会社エイトレッドのマーケティング部 マーケティンググループ 黒田純平氏とマーケティング部 アライアンス担当 高橋脩氏に、ITreviewを活用したレビューマーケティングとインテントデータ活用の実践についてお話を伺いました。

■インタビュイー情報
株式会社エイトレッド
マーケティング部 マーケティンググループ 黒田 純平氏
マーケティング部 アライアンス担当 高橋 脩氏

写真左:黒田氏 / 写真右:高橋氏

※本記事の発言はインタビュー内容に基づく引用と要約です。基本方針や数値は取材時点のものです。

エイトレッドについて

株式会社エイトレッドは、ワークフロー専業の老舗企業として「AgileWorks」と「X-point Cloud」の2製品で累計5,000社を超える導入実績を誇ります。

同社の強みは、個別開発に頼らないパッケージで日本の商習慣に刺さる機能を標準実装している点です。「他社ではオプション扱いの機能が標準でできる。”当たり前”を最初から満たす安心感が評価されています。」と黒田氏は語ります。

既存帳票の再現性に加え、市民開発(ノーコード/ローコード)の思想に基づいて”利用部門が自ら作れる”現場主導の拡張性も重視しています。

「信頼獲得の場」と位置づけてITreviewを活用

刈り取りではなく、信頼構築を目的に

エイトレッドのITreview有償掲載は約5年前から継続していますが、その狙いは一般的な比較サイトとは異なります。

「比較サイトやポータルサイトのような”刈り取る場所”ではなく、営業色の薄い第三者評価で信頼を獲得する場所としてITreviewを位置付けて運用してきました。」と黒田氏は語ります。

改善希望のレビューをきっかけにITreviewを「オープンな対話の場」に

当初は運用が手薄な時期もありましたが、レビューに寄せられた改善希望の中に「標準機能で解決できる要望」が多くあることに気づき、ITreviewの担当をつけ製品情報の更新やレビュー返信を強化。

レビューを顧客とのオープンな対話の場に変え、顧客だけでなく検討客への情報提供や信頼性醸成を行ってきました。

営業資料では「添えるだけ」の活用法

営業資料や展示会では受賞バッジを端的に活用し、それ以上は押し込まないのがエイトレッド流です。

「第三者評価は”自分で見に行く”から価値があると考えています。なので、レビューをメーカーがアピールするのではなく『ITreviewでは最高の評価をいただいていますので、ぜひサイトもご覧ください。』と、意図的にとどめています。」と黒田氏は述べます。

月5〜10件の安定した温度感の高いアポ創出に成果を実感

本格運用開始のきっかけ

ITreviewのインテントデータを用いた取り組みは、高橋氏がマーケティング部に着任した昨年12月に本格始動。運用2ヶ月で抽出と優先順位付けの形を整えました。

ファーストパーティデータと組み合わせた運用を推進

今年4〜5月には自社のファーストパーティデータ*を取得するツールも導入。ITreviewの行動信号と自社サイトへの来訪データをハウスリードと突合できる体制を構築しました。

レビューと価格ページを同時に見ているのがエイトレッドの中では重要なシグナルとなっていて、“価格情報”や”製品情報”を同時に閲覧している人といった、「本当に自社の製品の導入を検討している方」に積極的にアプローチをするようにしています。

「これらの活動により、”インテントデータだけ”の成果ではない前提ですが、月5〜10件のアポが安定して獲得できるようになりました。価格ページや製品情報を見ている企業を重視すると、温度感が段違いです。」(高橋氏)

エイトレッド社では、このファーストパーティデータとインテントデータとの突合をデイリーで行い、温度感の高いリードのタイミングを逃さず、先方の要望に沿ったアプローチを行う仕組みを構築しています。

※ 企業が顧客やユーザーから自社のチャネルを通じて直接収集したデータのこと

ファーストパーティデータ×インテントデータによるBDRとその成果

BDR*では、大きく2つの基本パターンを使い分けています。

  • 既存導入推測ケース : 公開情報で事実確認しつつ、競合比較の論点を提示
  • 大企業リプレイスケース : 「最近リプレイス需要が増えている。御社でも課題があればご紹介します」とテンプレート化

「価格×製品情報」を基軸とした優先度設定が重要なポイントです。

「価格や製品情報を見ている企業は”予算取りや製品機能の確認段階”だと考えています。レビューの閲覧だけだと一次的な関心にすぎない場合もあるため、優先順位は価格×製品情報のインテントデータを軸にしています。」(高橋氏)

※ 接点のない見込み顧客に対して自社から積極的にアプローチするアウトバウンド型インサイドセールス手法

成功事例:既存ユーザーのアップグレード提案

象徴的な成功例としては、旧バージョンを使う既存ユーザーの検討活動をインテントデータから察知し、クラウド/最新版へのアップグレード提案にスムーズに接続したケースが挙げられます。

「インテントがサービスとして加わったときから有効なデータだと思っていましたが、これまではバイネームでの情報ではないので有効な情報とは考えられていませんでした。しかし、課題や製品に対する興味がないと行動はしませんから、前情報として何を比較しているのかを知れるのはかなりの強みだと認識しています。高橋が着任し、インテントデータを有効活用できるようになり、適切なタイミングに適切な情報を提供して、サクッとアポをとっている姿が印象に残っています。」と黒田氏は語ります。

特に力を入れた「公開価値」の創出のためのレビュー返信

透明性による企業姿勢の可視化

レビュー返信は「サポート窓口以外の公開接点」として機能します。第三者から見える対応だからこそ、企業の姿勢が可視化されます。

「自社の問い合わせ窓口には届いていないユーザーの声も拾える。公開の場での対話が、見込み客に安心感を与えます。」(黒田氏)

組織への価値還元

競合レビューの観察や他製品との連携ユースケースの発見により、事例開拓や製品改善の仮説生成にも貢献。レビューは「顧客の生の声を組織に通す導管」としても機能しています。

継続する理由はAI時代の情報参照変化への対応

長期的な視点での価値

かつては製品の価値をより伝えやすくするために、ITreviewでの星獲得を明確な目的にしていた時期もありました。しかし、現在の継続理由はシンプルです。

「AI時代は検索・要約で第三者サイトの情報がより参照される。”比較するならITreview”という場に存在し続けることが、結局は自社の評価に返ってくる。」(黒田氏)

今後への期待

「製品を探すなら、比較するならITreview。その地位をもっと高めてほしい。」

実践のためのチェックリスト

今日から真似できる「エイトレッド式」5つのポイント

  • レビューは「自慢」しない
    バッジは「添えるだけ」。詳細はITreviewへ誘導し、第三者性を守る
  • 「価格×製品情報」の閲覧で優先度を決める
    レビュー単体はウォームアップ指標。濃度は価格・製品閲覧で測る
  • ISと営業で「毎日」インテントを共有
    スプレッドシートで朝会前に更新。タイミング勝負で一本釣り
  • 公開のレビュー返信で「姿勢」を見せる
    見込み客も見る「公開窓口」。返信ポリシーと当番制を整備
  • ファーストパーティデータと「突合」する
    自社来訪とハウスリードに紐づけ、ターゲットと優先順位を明確化

まとめ:インテントを捉え、信頼で背中を押す

エイトレッドの実践は、単なるリード獲得を超えた「信頼構築」と「インテント把握」の掛け算です。レビューとインテントの組み合わせは、B2Bマーケティングにおける新たな「当たり前」になりつつあります。

第三者評価による信頼構築と、インテントデータによるタイムリーなアプローチ。この2つを組み合わせることで、持続可能な営業機会の創出を実現しています。

取材協力:エイトレッド株式会社 マーケティング部 マーケティンググループ 黒田 純平氏 / マーケティング部 アライアンス担当 高橋 脩氏

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