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2026年8月10日
生成AIが情報収集の手段として定着し始めた今、BtoB SaaSを比較・検討するプロセスにも変化が生まれています。
おすすめのサービスや競合との違い、実際の評判まで、AIとの対話を通じて情報を集めるユーザーが増える一方で、「AIに選ばれるためには何が必要なのか」という問いに対する答えは、まだ手探りの状況です。
こうしたなか、ITreviewはノーコードWeb制作プラットフォーム「Studio」(※)を提供するStudio株式会社と共催セミナーを開催しました。セミナーでは、Studio株式会社 マーケティング/事業開発 マネージャの村上氏が、自社で提供しているAI検索最適化ツール「Pablo」を活用した自社の検証結果を公開。AIがどのような情報を引用してサービスを紹介しているのかを分析し、その結果をもとにマーケティング施策を改善してきた取り組みについて紹介しました。
本記事では、村上氏の講演内容をもとに、Studioが実際の検証を通じて見えてきたAI検索の引用構造と、成果につながった取り組みをご紹介します。
※ノーコードWeb制作プラットフォーム「Studio」
国内利用数No.1のノーコードでWebサイトを構築・運用できるSaaSです。
StudioがAI検索に本格的に着目したきっかけは、営業現場で起きていた小さな変化でした。
2025年の下旬ごろから、商談のなかで「AIをきっかけにStudioを知った」という声を耳にする機会が少しずつ増え始めたのです。当初は一部のユーザーによる動きと捉えていましたが、同様のケースが続いたことで、生成AIがBtoB SaaSの比較・検討プロセスにも影響を与え始めているのではないかという仮説を持つようになりました。

そこでStudioは、まず実態を把握することから着手しました。資料請求フォームに認知経路を確認する項目を追加し、商談では利用したAIサービスや検索時の質問内容もヒアリング。どのようにサービスとの接点が生まれているのかを継続的に記録・分析していきました。
調査を続けるなかで、2026年に入ってからもAI経由の問い合わせは増加し続け、企業規模を問わず広がり始めていることが見えてきます。StudioではAI検索を広告やオウンドメディアと並ぶ新たな集客チャネルとして捉え、その可能性を本格的に検証することを決めました。
一方で、実態が見えてくるほど、新たな疑問も生まれます。なぜStudioが紹介される質問もあれば、競合サービスが紹介される質問もあるのか。そして、AIはどのような情報をもとに回答を生成しているのか。
その答えを探るため、Studioは自社で提供しているAI検索最適化ツール「Pablo」を用いて、自社サービスがどのように引用されているのかを分析しました。すると、従来のSEOとは異なる、ある特徴が見えてきたのです。
分析を進めるなかで見えてきたのは、AIはユーザーの質問や購買フェーズによって、引用する情報源を使い分けているということでした。
Pabloによる分析では、「○○とは」「どのような機能があるのか」といった情報収集の段階では公式サイトが参照されやすい一方、「おすすめは」「比較したい」といった比較・検討の段階では比較メディア、「評判は」「口コミは」「悪い点は」といった意思決定に近い質問では、レビューサイトなど第三者による評価が重要な情報源となることが示されました。
実際にStudioでも、自社サービスがどのような質問で紹介されているのかを調査したところ、質問の内容によって結果が大きく変わることが分かりました。
たとえば、「ノーコードでLPを作成できるツール」といった質問ではStudioが紹介される一方、「LP作成ツール」や「ランディングページ作成ツール」のように比較対象が広がる質問では、競合サービスが優先して紹介されるケースも見られました。

この違いを生み出していたのは、サービスそのものではなく、AIが回答を生成する際に参照する情報でした。AIは公式サイトだけでなく、比較サイトや専門メディア、レビューサイトなど複数の情報源を組み合わせながら回答を生成しています。
この分析結果を受け、StudioではAI検索対策を「自社サイトを最適化する取り組み」ではなく、「AIが参照する情報環境全体を整える取り組み」と捉え直します。この考え方が、その後の施策にも大きく影響することになりました。
引用構造が見えてきたことで、施策の考え方も大きく変わりました。
当初、自社サイトのコンテンツを充実させることがAI検索対策につながるのではないかという仮説を立てて「ランディングページ作成」に関する記事を拡充するなど、オウンドメディアの強化に取り組んでいました。
しかし、AIが実際に参照する情報源を分析すると、比較・検討に関する質問では、自社サイトよりもソフトウェア比較サイトや専門メディアを引用するケースが多いことが分かります。自社サイトはサービスを理解するための情報源として重要である一方、比較の場面では第三者メディアの存在感が大きかったのです。

Studioは、AIが参照している比較サイトやレビューサイトでの情報発信を強化しました。その結果、「LP作成ツール」に関連する質問での言及率は改善し、自社サイトだけでは得られなかった成果につながったといいます。

こうした取り組みを進めた結果、Studioでは2026年4~6月の3か月でAI経由のコンバージョン122件を記録しました。また、500名以上の企業や上場企業からの問い合わせも確認されるなど、AIをきっかけとした新たな接点が生まれています。
さらに、月間獲得リード全体に占めるAI経由の割合は、月によっては35%に達しています。Studioでは、AI検索を広告やオウンドメディアと並ぶ主要な集客チャネルの一つとして位置付け、継続的な取り組みを進めています。

一方で、すべての施策が同じような成果につながったわけではありません。
LLMs.txtや構造化データ、メタディスクリプションの最適化といった技術的な対策も検証しましたが、今回の検証ではAI検索での言及率に目立った変化は確認できませんでした。また、「国内利用No.1」といった実績を打ち出したプレスリリースについても、それだけで推奨率の大きな向上には至らなかったと振り返ります。
ただし、これはあくまで短期的な検証結果です。Studioでは、こうした施策は長期的にAI検索へ影響を与える可能性があるほか、「国内利用No.1」のような分かりやすいラベルは、AIがStudioをどのようなサービスとして紹介するかという回答内容や文脈の形成にも寄与すると見ています。
こうした検証を通じてStudioがたどり着いたのは、テクニカルな最適化を積み重ねることよりも、AIが引用したくなる情報を増やすことが重要だという考え方でした。
そのなかでも、比較や意思決定の場面で重要性が増していたのが、レビューサイトをはじめとする第三者評価です。実際、Pabloが公開している調査では、「信頼・評判」に関する質問においてITreviewが46.6%という高い割合で引用されており、AIが意思決定に近い場面で第三者レビューを重視していることが示されています。(参照:生成AIは、購買フェーズによって引用する情報源を変えるのか?──7カテゴリ横断のファネル分析)こうした結果を踏まえ、Studioでは現在、ユーザーイベントなどを通じてレビューを継続的に収集し、利用者のリアルな声を蓄積する取り組みにも力を入れています。

Studioの検証を通じて見えてきたのは、AI検索では「どのような情報があるか」だけでなく、「誰がその情報を発信しているか」も重要になるということでした。
この点について、セミナーではITreviewからもAI検索における情報の引用構造が紹介されました。
AIは、製品概要や機能を知りたいという質問では公式サイトを参照する一方、比較・検討や評判を調べる段階では、比較サイトやレビューサイトなど第三者メディアを引用する割合が高まります。つまり、自社サイトだけで情報を発信するのではなく、比較や意思決定の場面で信頼される情報を増やしていくことが重要になります。
Studioがレビューの充実に取り組んでいる背景にも、この考え方があります。
レビューには、製品の特長だけではなく、導入の決め手や活用方法、改善してほしい点など、実際の利用者だからこそ分かる情報が蓄積されます。こうしたリアルな評価は、AIが意思決定に近い質問へ回答する際の重要な情報源にもなります。
AI検索時代に求められるのは、自社が伝えたい情報を増やすことではなく、ユーザーが安心して意思決定できる情報を増やすことです。Studioの取り組みは、その考え方を実データとともに示した好例といえます。
Studioの検証から見えてきたのは、AIに評価されるための特別なテクニックがあるわけではないということでした。
重要なのは、ユーザーが比較・検討し、安心して意思決定できる情報を、適切な場所に届けることです。公式サイトだけでなく、比較サイトやレビューサイトなど第三者メディアも含めた情報環境を整えることが、AIに引用される情報につながっていきます。
AI検索が新たな情報収集の入口になりつつある今、Studioの取り組みは、BtoB SaaS企業が情報発信のあり方を見直すうえで、多くのヒントを与えてくれる事例といえるでしょう。
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