RPAテクノロジーズのカスタマーサクセス事例――既存顧客の継続率95%超を維持するための策とは

BizRobo! のCSはユーザーコミュニティーの積極活用がカギに

RPA

カスタマーサクセス事例:カスタマーサクセスの夜明けとは
 製品・サービス提供後も、顧客企業の成功を第一として積極的に伴走を続ける「カスタマーサクセス」を取り入れようとする動きが日本でも活発化し始めている。本連載ではカスタマーサクセスに取り組む企業とその立役者を連載形式で取り上げ、具体的な施策やうまく推進するための秘訣などを紹介する


 ホワイトカラーのデスクワーク(主に定型作業)を、ソフトウェア型のロボットが代行し業務を自動化するRPA。働き方改革の追い風もあり、プログラミングの知識がなくても誰でもロボットを作成できるRPAツールの需要がますます高まりを見せている。

 そのRPA国内市場において、「BizRobo! Basic」「BizRobo! DXcloud」「BizRobo! mini」といったRPAサービスをいち早く投入し、約1,560社という数多くの導入実績を持つのがRPAテクノロジーズの「BizRobo!」だ。同社 カスタマーサクセス部 Customer Success Executive(カスタマーサクセスマネージャー)である和田 慎也氏は言う。

 「現在のRPA市場では、外資のサービスの台頭などもあり、群雄割拠の時代に突入しています。そうなると弊社も新規営業に力を入ざるを得ないフェーズにいると思っています」

そのような状況の中、いわゆる「既存顧客を守る」同社のカスタマーサクセス活動は95%超という高継続率をどのように維持し続けているのか。施策の展開内容を和田氏へ詳しくお伺いした。

 RPAは他のSaaSと比べると機能豊富で習得難易度が高め。しかしBizRobo! は誰でも使えることを目指したツール。そこにカスタマーサクセスの重要性が生まれる

――貴社は、いつからカスタマーサクセスに取り組まれていますか?

和田氏: 2018年3月からです。本格的なRPAサービスは、他のITツールと比べて機能が豊富ですので、比較的習得に時間がかかるツールです。新規に取り組まれるお客さまには、自動車免許を取るくらいのイメージですとよくお伝えしています笑。「導入しました、はい使ってください」ということが可能なサービスではありませんので、自走できるまでしっかりとした支援が必要になってきます。

 RPAツールは、技術者向けに作られているツールと、現場の誰でも使えることを目指しているツールとに二分されると思うのですが、弊社のツールは後者。ITの知識がなく、プログラミングなどが全くできないような方に、プログラミングに近いことをできるようにするツールです。管理部門やマーケティング、営業部門、CS部門などの現場サイドの方々に使っていただくことが前提になっていますので、どうやってオンボーディングさせるか。これが非常に重要になってきます。

 「これらの実現に向け」を会社としても認識し、カスタマーサクセスの専門部隊を立ち上げたという経緯があります。

和田 慎也氏 RPAテクノロジーズ株式会社 カスタマーサクセス部 Customer Success Executive

――現在、カスタマーサクセス部はどのような体制で活動を行っていますか?

和田氏: 既存顧客の支援を行うカスタマーサクセスマネージャーと、既存顧客に対する適正プランの提案を行うアカウントマネージャーと、カスタマーサクセス部には2つのチームで活動しています。カスタマーサクセス側では社内推進を通してロボットの活用度を高め、その活用状況に応じてアカウントセールスが適正なプランを提案し、それが結果アップセルにつながっていく。こういった連携を取り活動を進めています。

 パートナー様経由でのお客さまも多いBizRobo!ですが、カスタマーサクセスマネージャーは主に直販のお客さまへハイタッチの支援を担当しています。また、BizRobo!のユーザーコミュニティー運営やコミュニティーイベントとしてのワークショップやセミナー、開発者育成のためのウェビナー運営などのロータッチ支援、メルマガを通して開発に必要なナレッジやラーニングコンテンツを配信するなどのテックタッチ支援を実践しています。こちらのロータッチ、テックタッチの支援は、パートナー顧客も含め全顧客に対し私たちが行っています。

――ハイタッチによる支援とは、具体的にどのような活動をなさっているのでしょうか?

和田氏: RPAの推進担当の方と個別ミーティングでヒアリングを行うと、課題はおおむね推進面と技術面に集約されることが分かります。推進面の課題に対しては、いつまでにこういうアクションをして、このようにロボットの台数を増やしていきましょうというロードマップを引き、それに必要な支援を提案していくことが多いです。施策としてお客さまの社内でRPAの説明会をしたり、部署単位でワークショップをしたりすることもあります。一方、技術面の課題に関しては、弊社のエンジニアや提携しているエンジニアリングパートナーと連携して直接支援に入ることもあり、そのプロジェクト管理などをわれわれが担当することもあります。

 推進面の課題に直面するお客さまは多いのですが、その理由としてRPAは業務プロセスを自動化するサービスなので、お客さま自身の業務内容を見直す必要があることが多くあります。例えば、ロボットには得意分野と不得意分野があり、得意分野はロボットに任せ、それ以外を人間がやるというようになると、業務フローが変わってきます。

 また、これまでは定型業務を繰り返してきた方が、ロボットが問題なく稼働しているかどうか、問題があればどの部分に不具合がでているのか、よりパフォーマンスを高めるためにはどうすればよいかなどのマネジメント視点での業務にシフトすることもあります。そこでまず、「どんな業務が行われているか可視化していきましょう」「可視化した業務の中でどれをロボットに任せるかを決めましょう」「ロボットに任せた時に人間の業務をどう変えていくかを考えましょう」という提案をし、これらをどう実現させていくかをお客さまと一緒に考えていく、といった活動をしています。

――直販のお客さまへのハイタッチ支援を担当するということは、ハイタッチの支援活動はパートナーと分業している形でしょうか?

和田氏: そうですね。パートナー側が契約したお客さまへのハイタッチ支援は、基本はパートナー様に行っていただきます。

 とはいえ、パートナー様のお客さまも含めてどう継続率を高めていくかは弊社の課題ですので、前述のコミュニティー運営やウェビナーなどのロータッチ施策や、メルマガなどのテックタッチ施策での支援を通して、全てのお客さまに継続支援することが求められると考えています。

 ここで、弊社が考えるユーザーコミュニティー運営の重要性について補足しておきますね。RPA活用のノウハウは、プログラミングなどと比較してWebに公開されているものも少なく、まだあまりオープンになっていません。そこで、ユーザーコミュニティーに参加していただければ、他のユーザーとの交流を通して、技術面・推進面・運用面のノウハウの共有が積極的に行われるため、これが、ユーザー様にとって貴重な情報源になります。ですので、そういった情報を求めておられるユーザー様のためにも、極力頻度高くイベントを開催することを目指しています。また、このユーザーコミュニティー運営を通して、パートナー様のお客さまも支援ができるため、パートナー様の活動自体の支援もしていきたいと考えています。

お客さまのロボットの稼働状況を自分たちに報告してくれるロボットを入れ、利用状況の把握を自動化

――カスタマーサクセスを実践する上で重要となるのは、顧客の声をどう集めるかだと思います。ハイタッチのお客さまからは直接お伺いすることもできますが、それ以外のお客さまからはどのようにして声を集めていらっしゃるのでしょうか。

和田氏: これに関しても、ユーザーコミュニティーが多くの顧客の声が集まる場になります。先ほど、ユーザーにとって貴重な情報源になるのがユーザーコミュニティーと申し上げましたが、ユーザーの情報源であると同時に、私たちカスタマーサクセスマネージャーにとっても、貴重な情報源になります。お客さまがどのようなことに困っているのか、何が不満なのか、どのような機能を求めていらっしゃるのかなど、率直な生の声がコミュニティーには集まってきます。テクニカルサポートに連絡して言うほどのことではないけれど、もう少しここがこう改善されたらいいのに、といった小さな声も、コミュニティーというユーザー同士の手軽なコミュニケーションの中で垣間見ることもできます。

 その他には、「BizRobo! LAND」という年1回のイベントやオフラインのセミナー、オンラインのウェビナーなどのアンケートや定期的な満足度調査などの行い、積極的にユーザー様のご意見を集めています。

――そのようにして集めた声をどのように活用していらっしゃいますか?

和田氏:使い方が分かりにくい、もっといい使い方はないかといった声にできるだけ対応できるよう、ラーニングコンテンツを増やしていこうとしています。加えて、先ほども簡単にお伝えしましたがオフラインのセミナーに参加できない地方のお客さまもいらっしゃるので、全国のお客さま向けのウェビナーをスタートさせました。プロダクトフィードバックはもちろんですが、お客さまへのサポートコンテンツを充実させています。

――利用状況から顧客の状態を把握するようなことは実施されていますか?

和田氏: はい、まず利用状況の可視化からスタートしています。これは、RPAベンダーらしい取り組みかと思うのですが、お客さまのロボットの稼働状況を私たちに報告してくれるロボットを入れています。「可視化ロボ」と呼んでいるのですが、それをお客さまの承諾を得た上で一部の企業に入れています。

 もちろん、「可視化ロボ」は全顧客に入れられるわけではないので、入れられない企業に関しては、電話でのヒアリングなどでお客さまの状況を小まめにウォッチしています。とはいえ、工数に限りもありますので、どう効果的にお客さまの稼働状況を可視化するかは、今後の重要課題だと考えています。

新規顧客獲得が求められる事業運営の中で、カスタマーサクセスの重要性を全社に浸透させるには?

――カスタマーサクセスの実践になくてはならないのは、経営層を含めた全社員がカスタマーサクセスの重要性を理解することだと思います。カスタマーサクセスの概念を社内へ浸透させるために何か取り組んでいらっしゃることはございますか?

和田氏:会社全体へコミュニティーイベントのレポートを配信したり、パートナーセールス部向けにカスタマーサクセスの勉強会を開いたりしています。こういった地道な活動が、会社全体へカスタマーサクセスを浸透させるための取り組みになると考えています。

――パートナーに対しても「既存顧客を守る」ということへの啓蒙が必要になってきますね

和田氏: そうです。おっしゃる通りです。パートナー様への啓蒙活動もすごく重要だと思っています。ユーザーコミュニティー、オフラインイベントを一緒にやりましょうと声をかけてくれ、カスタマーサクセスに理解があるパートナー様もいらっしゃって、コミュニティーイベントを共催することも増えてきました。そういったパートナー様との協働事例をより多く作って、広報活動していくことも今後必要になってくるかと思っています。

今期直販の既存顧客の解約はまだゼロ。95%超の高い継続率を維持し続けるための施策

――カスタマーサクセス部のKPIは、どこに設定していらっしゃいますか?

和田氏: 直販の既存顧客の継続率です。カスタマーサクセスマネージャーは継続率、アカウントセールス側はアップセルをKPIに置いています。おかげさまで解約率が低く、今期直販の解約は今のところ出ていません。ただ、残念ながら今後解約を予定されているのが1~2社ありますので、現状95%を超えるような継続率になっています。

――経営側にカスタマーサクセスの重要性を理解してもらうには、こういう成果が上がっていますと具体的な数字で示すのが最も説得力があると思います。継続率95%超というのは、成果として誇れる数字なのでは?

和田氏:はい。95%超という継続率はカスタマーサクセスの成果として示せる数字だと思います。ただ、このように高い継続率に至ったロジックがまだ弱いと思っています。コミュニティーは確かに成果に結びついている実感はあるのですが、継続率との相関を示すに至っていません。今は施策をたくさん打ち、そのデータを集めて、施策と継続率の相関を経営側に報告するのが、私たちのミッションだと捉えています。

――RPAツールの導入によって、会社がどんどん変わっていくのを目の当たりにできるというのはやりがいがありますよね

和田氏: RPAツールという商材の特性上どうロボットとの共動を進めていただくか、そしてそこをどう支援していくか。私たちの活動によって、お客さまの業務の進め方が変わり、人の役割もステップアップしていく。そこが面白いですね。

――顧客企業が変わっていくのも面白いでしょうし、カスタマーサクセスがいかに大切かということを自社に分からせることによって、自社が変わっていく。貴社のカスタマーサクセスには2つの楽しみがあるような気がします。

和田氏: そう思います。あと、お客さまから頼られる度合いが大きいと感じます。それらに応えていくことで「解決しました。ありがとう」と言ってもらえることが多いので、RPAのカスタマーサクセスはやりがいを実感できる仕事かなと思います。

取材にご協力いただいた RPAテクノロジーズ株式会社の製品レビューはこら 

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